百貨店の店員さんから学んだこと
相手のことを考える
「あなたのためを思って言っている」
生徒指導でよく聞く言葉です。
でも、それって本当に相手のことを思っているのだろうか。
生徒を自分にとって都合の良い存在にするための言葉がけではないだろうか。
ふと、そんなことを考えていると、ある日のエピソードを思い出した。
新しい靴が欲しくて、電車に乗って百貨店に行った。
ちょっと奮発して、海外メーカーの革靴を狙っていた。
欲しかった靴があったので、店員さんにお願いして試し履きさせてもらうことに。
サイズが大きいように感じたので、小さいサイズを出してもらえるか聞いてみた。
すると、店員さんは「すみません、うちではこれより小さいサイズは置いてなくて…」と答えた。
私は迷った。
大きいと言っても、ブカブカというわけではなく、ほんの少し大きく感じるだけなのだ。
休みの日に電車を乗り継いでまで来た百貨店、買ってもいいかなと気持ちが揺らいでいた。
最悪、中敷を入れて調節すればいいかな、なんてことも考えていた。
すると、店員さんがこう言った。
「お客様が少しでも大きいと感じるのであれば、個人的にはオススメしません」
そしてこう続けた。
「革靴は履いているうちに伸びてきますし、何より値も張るものなので、本当に納得した状態で買われるほうがいいかと思います」
一言一句覚えているわけではないが、こんなようなニュアンスだったと思う。
文章だけだと生意気な感じがするかもしれないが、柔らかい表情で話してくれた。
結局、私はそこのお店では買わず、別のお店でもうひとつ小さなサイズを買った。
スーツでビシッと決める時には、いつもその革靴と一緒だ。
この店員さんの対応が今でも心に残っている。
「私のことをちゃんと考えてくれている」と感じたから。
一足でも多く売るために、ゴリ押しすることもできたはずなのに。
お店で働く店員としては、褒められた行動じゃないかもしれない。
私にとっては、めちゃくちゃありがたいアドバイスだったのだ。
最初に戻ろう。
「あなたのためを思って言っている」
という言葉は、本当に相手のことを思って言っているのか。
思うようにいかない、そんな憤りを子どもにぶつけてはいないだろうか。
目の前の子どもが本当に必要としている言葉をかけることができているだろうか。
私はあの時の店員さんのようになれているか、自問自答する毎日です。
さて、今日は金曜日。乗り切れば土日がやってきます。
明るく笑顔で、一日頑張っていきましょう。それでは。